今回は、(今では)10種類以上キーボードを使ってきて「これはなかなか良いキーボードを見つけた!」と思って、新しく購入した分離キーボード「Mistel BAROCCO MD770」のオススメなポイントと購入直後の所感やメリット・デメリットについて紹介できればと思います。
またまたキーボードの話題ですが、比較的新しいキーボードですのでこれから買おうか悩んでいる方の参考になれば幸いです。
※ 2020/04/26 ファームウェアアップデートの注意点について追記しました
目次
1. BAROCCO MD770の紹介
まず簡単ですが、「BAROCCO MD770」について解説します。
こちらはMistel社(台湾)製のキーボードで本体を左右に分離して使えるキーボードです。キー配列は一般的なQWERTY配列をベースした75%キーのコンパクト配列(テンキーレスかつ省スペース化のためにHomeキーなどをズラしているもの)になっています。
「6」が左手に来ているものの基本的にはホームポジションで分割されていますね。
(実質6は左手の方が近いので左手が正解だと思っていますが、念のため)
モデル | Barocco(バロッコ)MD770 RGB |
配列 | 英語(US配列) |
スイッチ | Cherry MX 茶軸 |
本体サイズ | W320 x D140 x H28〜34.5mm(左右ユニット合体時) |
重量 | 約810g |
詳細な仕様はアーキサイトさんの「公式サイト」またはMistelさんの「公式サイト」をご確認ください。
雑多ではありますが、梱包状態や開けたときの状態の写真を貼っておきますね。
2. オススメなポイント
先日「ErgoDox EZを半年使って見えてきた良いところと課題感」という記事で課題と感じていたところについて執筆以降もキー配列の見直しを続けていたのですが、どうもタイプミスが減らない状況が続いたためしばらくしてからSurfaceやMacbook本体のキーボードを使うようになってしまいました。
その後以前長いこと愛用していたRealforceを押し入れから引っ張り出してきて、しばらく使い「あ、やっぱRealforceって使いやすいな」と思っていたのですが、分離キーボードに慣れてしまっていたせいか1日中Realforceを使うと左手首が若干痛くなるようになってしまったのです。。。
「これは新しく分離キーボード買おうかなー」といろいろ調べていたところ、2020年1月末頃に発表されたBAROCCO MD770に行き着きました。
オススメポイントとなる今回のキーボード選定の条件としては、主に以下になります。
- 分離できること
- キースイッチが選べること
- キーがほとんど省略されていないこと
- 英字配列のもの
それぞれ解説していきます。
2.1. 分離できること
先に触れた通りなのですが、やはり長時間使用するキーボードは分離ないしはSurface Ergonomicのように両腕を開いて使えるモデルの方が体への負担が少ないと再認識しましたので、分離できることはけっこう重要なポイントになりました。
(Realforceが分離できたら最強説?)
2.2. キースイッチが選べること
キースイッチとは、キーボードの各キーの機構のことで、「メカニカルスイッチ」や「静電容量方式」、「メンブレン」など様々な方式がありますが、今回はErgoDox EZでメカニカルスイッチがやはり良いなと感じたのでキースイッチを選べるものにしました。
メカニカルスイッチは青軸・茶軸など押し心地の良いものが多く、静音赤軸など遠隔MTG中にメモでキーボードを打ってもあまり迷惑になりにくいものなど選択肢の幅が広いのが特徴ですね。
比較的音が大きいものについても「静音化リング」を使って少しカスタムすることで、押し心地を保ちながらも音を抑えることができるのも魅力です。
※ ちなみに茶軸と静音赤軸でめちゃくちゃ悩み、1日以上Youtubeのタイピング音を聴き比べてどちらにするか検討していました。参考動画上げていただいてる方、本当にありがとうございましたm(_ _)m
また、メカニカルスイッチに対応したキーキャップがいろいろなメーカーから販売されており、見た目や手触りを自分の好みにカスタマイズできるのもポイントが高いです。
見た目のカスタムについては以前「無刻印キーボードを生み出す」という記事を書いていますので良かったらご参考ください。
2.3. キーがほとんど省略されていないこと
コンパクトな配列のキーボードは何かしらのキーが省略されていることが多いです。
特に自作の分離キーボードではキー数が60~70キーというものが多く、方向キーなどは省略されていて何かしらのキーを押しながらキーを押すのがほとんどの印象を受けました。(今回は自作する線も考えてしまっていましたが、まだ沼にはハマりたくないので調査のみですw)
Windows/MacOSと行ったり来たりしないといけない身としては、方向キーを何か押しながらじゃないと押せないのはどうしても不便に感じてしまったり、ErgoDox EZで一番の課題だった「`」と「’」を何かしらのキーを押さずに入力でき、一般的な配列に近いことは今回一番重要なポイントです。
Escと`が同じキーでFnキーを押しながら入力するというモデルはけっこう多く見られるのですが、そのモデルを対象外とすると一気に選択肢が狭まってしまって探すのに苦労しました。。。
2.4. 英字配列のもの
言わずもがなですね。
本ブログではITエンジニアに英字配列を推奨していまして、英字配列を選ぶ理由としては本ブログで一番読まれている記事「エンジニアに英字配列(US配列)を勧める理由」に思いの丈をぶつけていますので、よかったらご参考くださいませ。
3. メリット
オススメなポイントがメリットになるのですが、それに加えてBAROCCO MD770のここが良いなと感じた部分について紹介します。
- 一部キー配置が変更できる
- USB-Cとカールコードを採用
それぞれ解説していきます。
一部キー配置が変更できる
キーボードの背面にDIPスイッチという小さいスイッチが付いていて、下記の変更ができるようになります。
- SW1: MacOS風配列最適化(F1~F12を音量変更などに変更+SW3の変更+右Altキーを右Commandキーへ)
- SW2: 左Ctrlキー→Capslockキー、Capslockキー→左Ctrlキー
- SW3: 左Windowsキー→左Altキー、左Altキー→左Windowsキー
- SW4: Capslock→Fnキー、Fnキー→Capslockキー
それ以外にもまだ使いこなせていませんが、Pnキーを使ったマクロを作ることができるみたいで、これからちょこちょこマクロにもチャレンジできたら効率化を図れそうだなと考えています。
(RGB版を購入しているので、色の変更もPnキーを使って行っています、最初だけしか使わないと思いますがキラキラさせて遊んでます)
USB-Cとカールコードを採用
ErgoDox EZや自作の分離キーボードは左右のキーボードを「TRRSケーブル」といわれるケーブルで接続する仕様になっているものが多いのですが、このBAROCCO MD770は「USB-Cケーブル」で左右のキーボードを接続します。
その左右をつなぐケーブルが付属品でカールコードになっていて、分離したときにケーブルがあまらないようにしてくれています。
(ErgoDox EZは普通のタイプのケーブルだったため、左右のキーボードが近いと余ったケーブルを巻いたりして処置する必要がありました。)
右が親機になっていて、PCへ接続するときは右のキーボードからPCへ接続しますがそのときのキーボード側の端子もUSB-C(付属品のケーブルではPC側はUSB-A)になっています。
また右が親機というものの、左キーボードにも左右をつなぐ端子とは別にもう一つUSB-Cの端子が付いており、そちらから直接PCに接続することもできます。ただし、左右それぞれを直接PCとつないだ場合は「マクロプログラミングエディットモード」と「DIPスイッチ」が使用できなくなる仕様なので注意が必要です。
試しにGoProのUSB-Cケーブルで左キーボードとPCを直接つないでみたところキーボードとしては普通に使うことができましたが、RGBのLEDが光らなくなったり上記の仕様があるのでマクロなどを使われない方でしたら問題なく利用できる仕様になっています。
4. デメリット
次にデメリットを紹介します。
- Altキーが少しだけ小さく左に寄っている
- ゴム足がネジ止め
- 茶軸の音が大きめ(茶軸そのものの課題)
それぞれ解説していきます。
Altキーが少しだけ小さく左に寄っている
買う前にわかっていたことですが、メカニカルキーボード全般的に左のAltキーが小さく左に寄っているのはこのキーボードも例に漏れずです。
そのため、MacOSで使うときに最初はCommandキーのタイプミスが少し発生してしまいました。
個人的にはメカニカルキーボードで、AltキーがXキーの右端くらいまで伸びているタイプが一番打ちやすくて好きですね。
(余談ですが、「Realforce R2」のAltキーが旧Realforceと違ってこの配置になってしまっているのが、とても残念です。RealforceのMac向けモデル「R2TLSA-US3M-BK REALFORCE TKL SA for Mac」はCommandキーが理想的な配置なのでできればWindows向け版も。。。)
ゴム足がネジ止め
こちらも買う前にレビュー記事を書いてくださっている方の記事を参考にして知ってはいたのですが、キーボード本体に傾斜を付けるために付けるゴム足を固定するネジがボルト式ではなくネジ止め式なので、頻繁につけ外しするとネジ穴がバカになってしまいます。
いろいろ試してから固定したいなと思っているので、今のところ両面テープで固定するようにしています。(一応使わなくなって次の人が使うときに、その人が使いにくい形で固定してしまうのも勿体ないので)
茶軸の音が大きめ(茶軸そのものの課題)
こちらはこのキーボードの問題ではなく茶軸スイッチの問題ですが、茶軸はやはり少し音が大きいようです。
友人に音声通話をしながらタイピング音を聞いてもらったところ、やはり「音はけっこうする」という感想をいただきました。
そこでErgoDox EZでも使っていた「静音化リング」を使って音量を抑えており、こちらを使っている状態での友人の感想は「言われないと静音赤軸のときとほとんど変わらない」になりました。
以上、Mistel BAROCCO MD770がオススメなポイントと購入直後に感じているメリット・デメリットについての解説でした。
メカニカルスイッチも赤・静音赤・青・茶から選べるので好みにハマりやすく、コンパクトながらも必要なキーが揃っているのでかなりオススメなキーボードだと思います。
あとErgoDox系以外で分離できるキーボードの有名どころとしては「Kinesis Freestyle2 Keyboard」や「Koolertron プログラム可能分離式メカニカルキーボード」辺りがメジャーでしょうか。
Mistel BAROCCO MD770を買おうか検討している方の参考になれば幸いです。
おまけ
タイピング音を録音してみましたので、軸選びの参考によかったらご利用くださいませ。
5. ファームウェアアップデートの注意点
「Mistelさん公式サイトのFirmwareページ」からファームウェアをダウンロードしてファームウェアのアップデートを行うのですが、1点注意事項があります。
ファームウェアが左右で「md770 rgb left side」と「md770 rgb right side」にファイルが分かれていて、それぞれダウンロードしてアップデートをするのですが、アップデートは左右それぞれをPC本体に直接つないでファイルを実行する必要がありました。
最初知らずに右を親機として使っている状態で両方ダウンロードファイルでファームウェアアップデートを実行したのですが、左が全く動かなくなり焦りました。(おそらく左右でファームウェアのバージョンが違ったことで動かなくなったものと思われます)
改めて左を直接PCと接続した状態で、左用のダウンロードファイルでファームウェアアップデートを行ったところ、無事アップデートされ左右きちんと認識されるようになりました。
ちなみに、この問題が起きてからマニュアルを詳しく読んでわかったのが、「*Note: Mac OSX does not support the firmware update software.」という記載があることです。
MacOSで利用される方はご注意くださいませ。
知らずに実行してしまった方の参考になれば幸いです。